お口の中の状態と、全身の病気関係があるって知っていますか?
【お口の健康維持は全身の健康につながっている】DATA:2017.12.18
歯科へ行くのは、「歯が痛い」「歯茎が腫れた」などの症状が出てからだと思っていませんか?しかし実は、 その前の状態、「予防」のための通院こそが大事。なぜならお口の中(口腔内)を健康に保つことは、全身の健康にもつながるからです。
「歯周病」について、「私は大丈夫」 と考えている方が大半だと思いますが、実は日本では成人の約8割が歯周病にかかっていると言われていま 。しかも歯周病は「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも表現され、一度かかるとひどくなるまで病気と自覚されることが少なく、また切り傷のように自然に治るものでもありません。放置しておくと歯の寿命が短くなるばかりか健康な歯にも悪影響を及ぼし、ロ腔内全体の状態が悪くなるのです。
最近では、様々な全身疾患との関係も明らかになってきており、「万病のもと」とも言われています。
【歯周病との関係性が明らかになっている疾病とは?】
まず代表的なものが「精尿病」です。免疫力の低下により、様々な病気を引き起こしてしまう病気ですが、 かかっている方は歯周病にかかるリスクも高く、逆に歯周病に感染することで糖尿病が悪化しやすくなる場合もあります。つまりこの2つの病気は双方向に影響を及ぼす関係にあり、歯周病の治療で血糖値が改善し、 糖尿病の改善にもつながるのです。
次に「脳血管疾患」「心臓疾患」。 心筋梗塞や狭心症の虚血性心疾患は、動脈内に形成される粥状の脂肪性沈着物(プラーク)により、血液の通り道が細くなることにより起こります。歯周病菌はこのプラークの形成を促進させ、それによって血の塊ができ血管が詰まる、というわけです。血圧やコレステロール値、中性脂肪の数値が高めの方は、特に歯周病の予防・治療を行っていただきたいと思います。
また加齢や認知症で「飲み込む」 機能が低下し、誤って気管に食べ物が入ってしまう「誤礁性肺炎」にも注意が必要です。誤嚥で歯周病菌が気管に入り、肺まで到達すると肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすリスクが高まるからです。特に食べ物と細菌が同時に入り込むと重症化します。また認知症の方で歯が無い方は、歯が20本以上残っている方、インプラントや入れ歯によって噛み合やせが回復している人と比べ、認知症の発症リスクが最大1.9倍に上昇することも分かっています。
さらに歯周病は早産や低出生体重児といった妊娠トラプルにも影響があります。歯周病にかかっている妊婦さんは、そうでない人に比べて早産や低出生体重児の確率が約2~4倍もアップ。さらに早産や低体重の赤ちゃんは病気にかかりやすい、障害を負ってしまうなどのリスクもあります。