意外と知らない保険治療と自費治療
DATA:2017.12.18
歯科の治療は、健康保険が使える「保険治療」と健康保険が使えない「保険外(自費)治療」の2種類に大きく分けられます。
保険治療とは健康保険が使える治療のこと。患者さんの費用負担は治療費の3割だけで済み、世界的に見ても日本は圧倒的に安いということ。米国のように、別途、歯科保健に加入する必要もなく、一つの健康保険で、一定水準の治療を受けることができます。
しかしながら、費用が安い、全国どこの歯科医院で治療を受けても費用は同じ、というメリットがある一方で、治療方法や治療に使う材料、治療にかけられる時間に制限があるといったデメリットもあります。
保険治療は、治療方法や手順、治療に使う材料に細かいルールがあるため、決められたルール以上の治療は行えません。そのため、最新の治療法で治療できなかったり、高性能の材料を使うことができなかったりします。結果的に、患者さんにとってベストとはいえない治療になることもあります。
つまり保険治療は、
費用が安い
どこの歯科医院にかかっても費用が同じ
というメリットがあるものの、
決められた治療方法、材料、治療となる
保険のルール(規制)があるので、治療期間や材料に影響が出る
場合によってはベストな治療を受けられない
というデメリットがあるというわけです。
一方、保険外(自費)治療は健康保険が使えないかわりに、治療方法や治療に使う材料、治療にかける時間が制限されることはありません。最新の治療法で、高性能の材料を使い、時間をかけてていねいに治療することができます。保険治療のような細かいルールがありませんから、患者さんにとってベストな治療を行うことができるのです。
ただし健康保険が使えませんから、治療費の3割だけを負担すればよい保険治療とは違い、費用を全て患者さんが負担しなければなりません。そのため治療費は保険治療と比較すると高額になるのが一般的です。
保険治療と保険外(自費)治療の比較
保険診療 | 保険外(自費)診療 | |
治療法・材料・手順 | 健康保険制度のルール規制(治療法・材料・手順に制限)がある。 患者様が選ぶ治療選択肢が少ない。 |
自由診療になるので、最新の治療法や材料、オーダーメイド治療が可能。 患者様が選ぶ治療選択肢が増える。 |
安全性(生態親和性) | 保険の銀歯などは金属アレルギーの発症の心配があります。 | 身体に安全な素材や、安全性の高い治療が選択可能です。 |
審美性 | 治療部位が目立つことがあり、それが原因にコンプレックスになることもあります。 | まわりの歯との違和感がない自然な美しい仕上がりにできます。 |
耐久性 | 耐久性が弱い材料が多い。 (壊れやすい・歪みやすい・変色しやすい) |
耐久性が強い材料が多い。 (壊れにくい・歪みにくい・変色しにくい) |
食事能力(咬合力)・快適性・違和感 | 素材や作製方法に制限があり、食事能力(咬合力)・違和感・快適さを求めることが難しい時がある。 | 新しい治療材料や新しい治療法などの選択が可能で、食事能力(咬合力)・違和感・快適さが向上する。 |
防汚性・耐菌性 | 細菌・食物・プラーク(歯垢)が着きやすい。 | 細菌・食物・プラーク(歯垢)が着きにくい。 |
予後 | 隙間ができやすい、2次虫歯になりやすい。 X線診断が困難な場合がある。 (金属部分はレントゲンでは真っ白になり診断困難となる場合がある) |
隙間ができにくい。2次虫歯になりにくい。歯周病になりにくい。 X線診断が容易になる。 |
費用 | 健康保険が適応なので、一部負担で済むので比較的安価。 | 全額自己負担なので比較的高額。 (但し、歯科保険外治療内容によっては、医療控除を受けることが可能) |