歯科治療の詰め物・被せ物にはどんな種類がある?選び方は?
こんにちは、福岡市西区のわたなべ歯科クリニックです。DATA:2020.12.21
今回は、皆様に歯の大事さをしってもらいたく「歯科治療の詰め物・被せ物に使用する材料の説明、選び方」についての説明です。
歯科治療では、虫歯や歯周病、外傷など歯科疾患によって失われた天然歯のエナメル質や象牙質を補うために、特殊な材料を人工的に制作し、それを補い治療を行います。
部分的な詰め物を「インレー(詰め物)」、全体的にフルカバーで補う「クラウン(被せ物」)、歯の喪失部を補うブリッジなどがあります。
近年の新素材開発により、さまざまな種類が誕生しており、特性によって選ぶことが可能となります。
代表的な詰め物・被せ物に使用する材料の説明、選び方などポイントをご紹介します。
歯科治療の詰め物・被せ物に使用する材料
1 オールセラミック
セラミック(陶器材料)のみで作られているのが「オールセラミック」の人工歯です。セラミックの特徴である美しい透明感やつやを持つうえ、経年劣化・変色もないので、天然歯に似た自然な仕上がりが長く続きます。強化ガラス系セラミックやジルコニアセラミックといった材料が歯科治療に使われます。
セラミック治療は、金属を使用しないため、金属アレルギーの心配性も無く、身体にやさしい素材となります。
歯科医学的には、世界的では標準となる治療材料ですが、残念ながら日本国内では、健康保険の適応外の為、保険外治療となります。また、歯ぎしりがある、食いしばりがある、噛む力が強い人、硬いものを好んで食べる人は、割れたり欠けたりしてしまうこともあります。
2 メタルセラミック
見た目の美しさと耐久性を兼ね備えたのが、金属にセラミックを焼きつけた「メタルセラミック」の人工歯です。
経年劣化はオールセラミックと同様に殆どありませんが、内面に金属フレームを含んでいるので、歯茎との境が黒く見えることがある、光の透過性が天然歯と違うといった点では、オールセラミックと比較すると劣ります。また、金属を一部使用しているので、金属アレルギーで陽性の方には推奨できないこともあります。日本国内では、健康保険の適応外の為、保険外治療となります。
3 ハイブリットセラミック
セラミックの美しさと、歯科用プラスチックである「レジン」にセラミックの粒子を混合させた材料。セラミックの名前が付いていますが、実質はプラスチック材料になります。近年、健康保険を使用して治療を行えるようになりました(適応部位や症例など厳しい制限あり)。ただし、経年的に劣化や変色が起こり、白さが続く期間が短いという残念な点もあります。やわらかい素材なため、耐久性に欠けるという欠点もあります。
4 ゴールド(金合金)
低腐食性と強度を誇る貴金属・金やプラチナを使って作られているのが「ゴールド(金合金)」の人工歯です。金合金は金属アレルギー反応が起こりにくく、ほとんど腐蝕することもない金属で、保険適用の金属よりも硬さのバランスが良く持ちします。また、歪みも少なく適合性が非常によいので、隙間が出来づらく虫歯になりにくいというメリットもあります。ただし、近年では見た目が金なのでどうしても目立ってしまい、嫌がる方もおられます。また、素材の価格が高騰しているため、高額になる傾向があります。
5 銀歯(金銀パラジウム合金・銀合金)
「銀歯(金銀パラジウム合金・銀合金)」でできた人工歯です。健康保険の治療材料で、3割負担で数千円と安価に入れることができ、割れにくいといったメリットがあります。日本特有の治療材料ですが、世界的には、アレルギーなど人体への害が取りざたされ、スウェーデンなどでは小児や妊婦への使用が禁止となっているところもあります。
また、口腔内では銀歯は黒く光って見え、長期使用により金属材料の歪みが生じ、隙間ができやすく、その結果、再度虫歯になってしまうこともあります。材料的には予防性や審美性が弱いところが、最大のデメリットと言えます。
6 コンポジットレジン(プラスチック)
プラスチック樹脂でできているのが「レジン」の人工歯です。見た目も銀歯より歯の色に近く、目立ちにくいという特徴があります。ただし、素材の特性として、長く使うとどうしても変色が起きたり、やわらかい素材なので強度不足により割れたりすり減ったりしてしまうため、数年おきに入れ替えるなどの対応が必要となることもあります。
また、傷がつきやすいので、セラミックよりも汚れがつきやすいというデメリットがあります。保険診療は、適応条件により治療可能ですが、噛む力が強くかかる部分は治療対象適用外となります。
歯科治療の詰め物・被せ物に使用する材料の選び方
A.審美性で選ぶ
保険外診療となりますが、セラミック系の材料を選択することで、周囲に気づかれたくない、見た目の美しい歯を手に入れることができます。
前歯など目立ちやすい部は、光の透過性など、天然歯に近い仕上がりが得られる、オールセラミックの材料を推奨します。奥歯など目立ちにくい部は、少し費用を抑えたメタルセラミックを推奨することもあります。
ただし、口腔内の状況により、推奨する材料が変わることもありますので、選択を考える場合はご相談下さい。
B.予算で選ぶ
とにかく治療費をできるだけ抑えて安価に済ませたいという人は、保険適用の銀歯(金銀パラジウム合金・銀合金)や、レジン材料を選ぶのが良いです。1本数千円からと、保険外診療の材料に対して、価格を抑えて歯科治療を受けることができます。ただし、審美性や強度、予防性、アレルギー性などの観点から見ると、それなりのデメリットもあります。予算と質のバランスを、自分なりに考えてみるのが良いでしょう。
C.強度で選ぶ
強度重視のみで言うと、銀歯などの金属材料や白き金属とも呼ばれるジルコニアセラミックが優れています。特に歯ぎしりがある、食いしばりがある、噛む力が強い人、硬いものを好んで食べる人は、強度で選ぶと良いでしょう。
D.アレルギーの有無で選ぶ
金属アレルギーがある場合、反応を起こすリスクのある金属材料を治療材料に選ぶべきではありません。ゴールドなどアレルギーになりにくい貴金属でできたものもありますが、金属アレルギーにならないと言い切れるものではなく、また金属アレルギーは突然発症することもあります。
現時点ではアレルギーがないからと金属材料を入れたことで、後日アレルギーを発症してしまうケースもあります。ご自身の健康に関わるので、慎重に選ぶことも大切です。
福岡市西区のわたなべ歯科クリニックでは、患者さまと相談したうえで治療を行っております。
保険適用の材料から保険適応外の材料まで、幅広いラインアップが揃っています。それぞれの歯科材料の特徴を知って、安易に選択するのではなく、本当に自分に合うものを選びましょう。